「ありたい姿」の仮説設計
世界有数の総合電機メーカーであり、社会インフラから家庭向け製品まで様々な領域でソリューションを提供する日立製作所。2021年3月発刊のデザイン誌「AXIS」増刊号「日立デザイン つながっていく社会を支える」では、同社の多様かつ先進的なデザイン活動を紹介しました。
それを受けて、さらなるデザイン活動やデザイナーを紹介するためのウェブサイト「Hitachi Design」を立ち上げることになりました。日立デザインの“顔”が見えるウェブサイトにできないかという意向とともに、私たちはまず「ありたい姿」を仮説設計のうえ、日立製作所のデザイナーの皆さんによるワークショップにも参画し 「協創」による本質的な課題の洗い出しを行っていきました。
ワークショップによる自己分析と共通認識の発見
クライアントの母体はとても大きく、フィジカルなアウトプットにつながるプロダクトデザインだけでなく、サービスデザインやビジョンデザインといった「デザイン」の定義を拡張するような多様かつ革新的な取り組みがなされています。それらを表現するにあたり、少しでも多くの情報を集める必要がありました。
チームメンバーによる自己評価と分析に始まり、AXISという第三者の目を入れることによってそもそも「Hitachi Design」は社会に何を提供しているのか、どういった姿であるべきかなど、ひとつのウェブサイトをつくるという枠を超えて議論を重ねていきました。
進化を続けるためのフェーズの切り分けとありたい姿の設計
ウェブサイトは情報がアップデートされ続けることでその価値を積み重ねていくという特性を持ったメディアです。そのため私たちはフォーマットリニューアルをもって完成形とするのではなく、まず最終的にどのような形、ボリュームとクオリティを目指すべきかというゴールとロードマップの設計から着手しました。
第1フェーズではサイトトップのリニューアルと、フィロソフィの体現までを設計しています。次のステップでは、より発信性を高めるためのコンテンツを構築します。
つまり、現在公開されている「Hitachi Design」はより良質なウェブメディアを目指して進化している途中です。企業やチームが常にその形を変え続ける有機体であるように、ウェブサイトもそれを体現するべく歩み続けるのです。
AXISクオリティの編集とデザイン
同じことを伝えていても、その伝え方によって受け手の評価や印象は大きく変わるものなのかもしれません。今回のワークショップではとても魅力的に感じられるエピソードが多く集まりましたが、これまでのウェブサイトではそのそれを十分には伝えきれていませんでした。
各記事のフラットなタグ管理化など、ウェブサイトとしての情報アクセシビリティの改善はもちろん、トップページに様々な領域のシーンを集めた動画を作成。
新設ページの「台湾TRA『EMU3000』の車両デザイン」ではデザイン誌AXIS編集員が編集とデザイン、撮影表現までを監修、読み手に、より「Hitachi Design」の本当の営みが伝わることを目指しています。